2017年04月22日
狩猟人生、その13:エゾ鹿の習性とは:2002年~。
13.スクールの狩猟ではエゾ鹿の習性が分かって来ました。2002年~
白糠や根室はエゾ鹿が非常に多くいる所ですが、一方でハンターも多い場所です。
筆者は紋別郡山中にスクールを開講しましたが、ハンターの少ないここで狩猟を行う様になる
とエゾ鹿特有の行動が手に取る様によく分かって来ました。
そのお陰で奇跡の高出会いやボス級との出会いが可能となりました。
出会いは平均的には1日当たり5回強、内成獣オス鹿の3段角率70%前後、1日毎に2頭が
捕獲され、2日に1頭の大物が捕獲され、初参加の初心者でも捕獲ゼロは過去にありません。
1:エゾ鹿の季節的行動。
エゾ鹿は10月下旬から繁殖期による特別な行動が1ヶ月ほど続きます。また北海道は地区
により季節感の差がありますが、高い山が雪に覆われ始めますと、そこに住む鹿は雪の
少ない地域まで少し降り、これが1ヶ月強に渡り積雪の 都度少しずつ移動を繰り返します。
今回はその繁殖期の特別な行動に付いて詳しくお話をしたいと思いますが、これは筆者が
観察した結果からの推測です。
メス鹿は群を作りますが、繁殖期のオス鹿は群を作らず、他のオスは全てライバルと言う形
になって単独行動を取ります。
紋別郡山中は繁殖の時期と山を降りる時期が重なる事から、ライバル合戦が牧草地で
行われる事が多く、オス鹿の目にはライバルとメス以外は余り写らないおめでたい状態に
なります。こうした出会いを追求し続けた結果、エゾ鹿猟の出会いの70%がこの3段角の
成獣オスになったのです。
出会いは撃ち易い牧草地に多く、且つそれがかなりの大物と言う、ハンターにとっては夢の様
な日々の連続となります。
2:エゾ鹿の群れの構造。
鹿の群れは5~6頭のメスの群れが基本で、同族の親子兄弟がメインとなりこれにボス鹿1頭、
これが当地区の群れの平均値です。
しかし実は群れの構成はこれだけではなく、周辺にはボスの座を狙うNO.2やそれに続く
NO.3以降の数頭が近くでそれぞれ様子を伺っています。雌が発情しますと全ての雄は交尾
しようとし戦いが起こる事もあります。
6頭前後の大物鹿が100m前後の等間隔で円を描く様に並んで順位争いの睨み合いをして
いるのを見掛けた事も何度かあります。
当地に於いても3頭程度の睨み合いは毎シーズンそれ程珍しい事ではありません。
エゾ鹿の平均的な群れとボス鹿。エゾ鹿の平均的な群れ、最後にボス鹿が
付いて行きますが、ボスは近くにいて見張っている事もあります。
80cm級超大物の全力のぶつかり合いボス決定戦、
メスの群にはボスと呼ばれる角長78cm~80cm強のその地区のNO.1のオスが何時もメス
の群の近くにいます。そのメス群がおめでたければNO.1ボスも朝の合法時間に会えますが、
通常は時間外の可能性が高くなります。
しかし朝夕が特別暗い日には合法時間の可能性が高くなりますから、そう言う天候の日には
後述のそう言う場所に行けば、射程距離150~200mでNO.1に出会えますが、サボット
スラグ銃ではやや難しい距離となります。
群れのNO.1は角長75cm以上。 NO.2は70cm前後。 NO.3は60cm前後。
右は2歳エゾ鹿の特徴のカニ角、これは本州鹿では見られない特徴です。
注目はこの後です。メスの群れとNO.1のボスが引き揚げると、間もなくその近くの比較的広い
見晴らしの良い牧草地の丘の中央でNO.2が「我ここにあり」とアピールする為、数分程度です
が仁王立ちをします。
NO.2との出会いの多くが合法タイムすれすれ、朝夕が多少暗い時は30分の余裕がある日も
あります。NO.2は通常は5~6歳の70cm級の大物です。
地形から多くは射程距離が100~150m、サボットスラグ銃でも十分狙える距離ですが、
舐めて掛かれません。このNO.2と対戦出来る可能性が高いのがエゾ鹿猟の最大の魅力です。
NO.2が引き揚げると、今度はNO.3がその近くのやや小さな場所で同じ様に「我ここにあり」
をアピールします。これは完全に合法タイムで、このクラスから一気に捕獲数が多くなります。
NO.3は4歳前後の60cm級、射程距離は100m前後ですからサボットスラグなら全く問題の
ない距離です。
NO.3の後にはNO.4がやはり同様に行いますが、これは3歳の3段角になったばかりの
若オスで距離も100m弱になり 更に撃ち易くなります。
1歳のピン角や2歳のカニ角はショーシーズンの少し前の時期には姿を出しますが、
こう言ったショーシーズンが始まると出番がなくなります。
14時前後からは朝と反対の順番で夕方のショーが同様に行われます。
更に翌日、何もなければ隣接の数km以内で それほど変わらない時間に同じ様な朝夕の
ショータイムがあります。
撃たれますと朝は早くなり、夕方は遅くなる傾向になり、3度それを過ぎるとその方向は限界
となり、日中のとんでもない意表を突く時間帯に出現する様になります。
また朝や夕方に月がある場合と無い場合で少し時間帯が変化します。
これに対し本州鹿巻狩りでは繁殖期は同じ頃と思われますが、山が雪に覆われず山から
降りる季節的な移動がなく、山に留まる鹿と森の中で出会う事は容易ではありません。
また体格の劣る普通の猟犬では肝の据わったボス鹿を追い出せず、本州鹿のボス鹿との
勝負は絶望的になります。
3:エゾ鹿の大物に会える場所。
エゾ鹿大物に抜群の出会い数があるのは筆者のセンスによる所も大きいのですが、すでに
説明した様に北海道1部 地域だけの独特な地理的構造のおかげで起り、筆者はそれを利用
しているに過ぎません。
筆者の狩猟方法は流し猟に分類されますが、この1週間の天候の変化から群の動きを細かく
推測し、出現する僅かな時間帯に合わせてその現場にピンポイントで直行する「ポイント猟」
と名を付けました独特の狩猟方法です。
その場所で予め待っていても鹿は気配を感じて出て来ず、偶然に丁度通りかかった様に
さりげなく行く事が重要です。
最初に鹿が降りる場所は高い山からの沢筋が直接続ながっている牧草地で、徐々に里方面に
移動をして行きますからその新しい移動先の場所を予測して連日「ポイント猟」で追い掛けます。
その新しい群れが山から降りる日は、そこらかしこに多数が姿を出しますが、その状態を
フィーバーと呼んでいます。
出会い率はその後徐々に低下して行きますが、5~6日程度で次の積雪があり、また新しい
フィーバーが始まります。
フィーバーはシーズンに4~5度繰り返され、紋別郡山中では最初が10月25日頃、終わりは
11月20日頃になります。
また紋別郡はヒグマの痕跡の多い所でした。何時かはヒグマと勝負したい物だと思って
おりましたが、その日は意外と早く訪れまして2006年、小さなヒグマでしたが第1号、
翌2007年には第2号と第3号を頂きました。
1度その場所で捕獲成功の味をしめると良くあるパターンですが、夢よもう1度と定期的に同じ
場所に通う様になります。これはわざわざ鹿に警告を送っている様な最悪の状態になります。
普通の流し猟をする人はエゾ鹿の行動が読めて いない人達ですから、鹿が出そうな場所が
連続するコースを選びがちです。
しかしそう言う所はハンターが多く、結果的に定時パトロール(本人はしなくても毎朝晩に誰か
がパトロールする)の最悪コースになります。
そう言う場所には諸条件の揃った時(5~6日に1度)だけ行く様にし、普段はわざと通らない位
の配慮が必要です。
白糠や根室はエゾ鹿が非常に多くいる所ですが、一方でハンターも多い場所です。
筆者は紋別郡山中にスクールを開講しましたが、ハンターの少ないここで狩猟を行う様になる
とエゾ鹿特有の行動が手に取る様によく分かって来ました。
そのお陰で奇跡の高出会いやボス級との出会いが可能となりました。
出会いは平均的には1日当たり5回強、内成獣オス鹿の3段角率70%前後、1日毎に2頭が
捕獲され、2日に1頭の大物が捕獲され、初参加の初心者でも捕獲ゼロは過去にありません。
1:エゾ鹿の季節的行動。
エゾ鹿は10月下旬から繁殖期による特別な行動が1ヶ月ほど続きます。また北海道は地区
により季節感の差がありますが、高い山が雪に覆われ始めますと、そこに住む鹿は雪の
少ない地域まで少し降り、これが1ヶ月強に渡り積雪の 都度少しずつ移動を繰り返します。
今回はその繁殖期の特別な行動に付いて詳しくお話をしたいと思いますが、これは筆者が
観察した結果からの推測です。
メス鹿は群を作りますが、繁殖期のオス鹿は群を作らず、他のオスは全てライバルと言う形
になって単独行動を取ります。
紋別郡山中は繁殖の時期と山を降りる時期が重なる事から、ライバル合戦が牧草地で
行われる事が多く、オス鹿の目にはライバルとメス以外は余り写らないおめでたい状態に
なります。こうした出会いを追求し続けた結果、エゾ鹿猟の出会いの70%がこの3段角の
成獣オスになったのです。
出会いは撃ち易い牧草地に多く、且つそれがかなりの大物と言う、ハンターにとっては夢の様
な日々の連続となります。
2:エゾ鹿の群れの構造。
鹿の群れは5~6頭のメスの群れが基本で、同族の親子兄弟がメインとなりこれにボス鹿1頭、
これが当地区の群れの平均値です。
しかし実は群れの構成はこれだけではなく、周辺にはボスの座を狙うNO.2やそれに続く
NO.3以降の数頭が近くでそれぞれ様子を伺っています。雌が発情しますと全ての雄は交尾
しようとし戦いが起こる事もあります。
6頭前後の大物鹿が100m前後の等間隔で円を描く様に並んで順位争いの睨み合いをして
いるのを見掛けた事も何度かあります。
当地に於いても3頭程度の睨み合いは毎シーズンそれ程珍しい事ではありません。
エゾ鹿の平均的な群れとボス鹿。エゾ鹿の平均的な群れ、最後にボス鹿が
付いて行きますが、ボスは近くにいて見張っている事もあります。
80cm級超大物の全力のぶつかり合いボス決定戦、
メスの群にはボスと呼ばれる角長78cm~80cm強のその地区のNO.1のオスが何時もメス
の群の近くにいます。そのメス群がおめでたければNO.1ボスも朝の合法時間に会えますが、
通常は時間外の可能性が高くなります。
しかし朝夕が特別暗い日には合法時間の可能性が高くなりますから、そう言う天候の日には
後述のそう言う場所に行けば、射程距離150~200mでNO.1に出会えますが、サボット
スラグ銃ではやや難しい距離となります。
群れのNO.1は角長75cm以上。 NO.2は70cm前後。 NO.3は60cm前後。
右は2歳エゾ鹿の特徴のカニ角、これは本州鹿では見られない特徴です。
注目はこの後です。メスの群れとNO.1のボスが引き揚げると、間もなくその近くの比較的広い
見晴らしの良い牧草地の丘の中央でNO.2が「我ここにあり」とアピールする為、数分程度です
が仁王立ちをします。
NO.2との出会いの多くが合法タイムすれすれ、朝夕が多少暗い時は30分の余裕がある日も
あります。NO.2は通常は5~6歳の70cm級の大物です。
地形から多くは射程距離が100~150m、サボットスラグ銃でも十分狙える距離ですが、
舐めて掛かれません。このNO.2と対戦出来る可能性が高いのがエゾ鹿猟の最大の魅力です。
NO.2が引き揚げると、今度はNO.3がその近くのやや小さな場所で同じ様に「我ここにあり」
をアピールします。これは完全に合法タイムで、このクラスから一気に捕獲数が多くなります。
NO.3は4歳前後の60cm級、射程距離は100m前後ですからサボットスラグなら全く問題の
ない距離です。
NO.3の後にはNO.4がやはり同様に行いますが、これは3歳の3段角になったばかりの
若オスで距離も100m弱になり 更に撃ち易くなります。
1歳のピン角や2歳のカニ角はショーシーズンの少し前の時期には姿を出しますが、
こう言ったショーシーズンが始まると出番がなくなります。
14時前後からは朝と反対の順番で夕方のショーが同様に行われます。
更に翌日、何もなければ隣接の数km以内で それほど変わらない時間に同じ様な朝夕の
ショータイムがあります。
撃たれますと朝は早くなり、夕方は遅くなる傾向になり、3度それを過ぎるとその方向は限界
となり、日中のとんでもない意表を突く時間帯に出現する様になります。
また朝や夕方に月がある場合と無い場合で少し時間帯が変化します。
これに対し本州鹿巻狩りでは繁殖期は同じ頃と思われますが、山が雪に覆われず山から
降りる季節的な移動がなく、山に留まる鹿と森の中で出会う事は容易ではありません。
また体格の劣る普通の猟犬では肝の据わったボス鹿を追い出せず、本州鹿のボス鹿との
勝負は絶望的になります。
3:エゾ鹿の大物に会える場所。
エゾ鹿大物に抜群の出会い数があるのは筆者のセンスによる所も大きいのですが、すでに
説明した様に北海道1部 地域だけの独特な地理的構造のおかげで起り、筆者はそれを利用
しているに過ぎません。
筆者の狩猟方法は流し猟に分類されますが、この1週間の天候の変化から群の動きを細かく
推測し、出現する僅かな時間帯に合わせてその現場にピンポイントで直行する「ポイント猟」
と名を付けました独特の狩猟方法です。
その場所で予め待っていても鹿は気配を感じて出て来ず、偶然に丁度通りかかった様に
さりげなく行く事が重要です。
最初に鹿が降りる場所は高い山からの沢筋が直接続ながっている牧草地で、徐々に里方面に
移動をして行きますからその新しい移動先の場所を予測して連日「ポイント猟」で追い掛けます。
その新しい群れが山から降りる日は、そこらかしこに多数が姿を出しますが、その状態を
フィーバーと呼んでいます。
出会い率はその後徐々に低下して行きますが、5~6日程度で次の積雪があり、また新しい
フィーバーが始まります。
フィーバーはシーズンに4~5度繰り返され、紋別郡山中では最初が10月25日頃、終わりは
11月20日頃になります。
また紋別郡はヒグマの痕跡の多い所でした。何時かはヒグマと勝負したい物だと思って
おりましたが、その日は意外と早く訪れまして2006年、小さなヒグマでしたが第1号、
翌2007年には第2号と第3号を頂きました。
1度その場所で捕獲成功の味をしめると良くあるパターンですが、夢よもう1度と定期的に同じ
場所に通う様になります。これはわざわざ鹿に警告を送っている様な最悪の状態になります。
普通の流し猟をする人はエゾ鹿の行動が読めて いない人達ですから、鹿が出そうな場所が
連続するコースを選びがちです。
しかしそう言う所はハンターが多く、結果的に定時パトロール(本人はしなくても毎朝晩に誰か
がパトロールする)の最悪コースになります。
そう言う場所には諸条件の揃った時(5~6日に1度)だけ行く様にし、普段はわざと通らない位
の配慮が必要です。
狩猟人生をふり返って:前書き&目次。
著者略歴。
狩猟人生、そのゼロ:人生のベースとなった高校時代:1965年~。
狩猟人生、その1:銃18歳、狩猟20歳、狩猟人生の始まり:1968年~。
狩猟人生、その2:ボルネオ島ジャングル駐在を拝命:1973年。
狩猟人生、その3:帰国後のカモ撃ちバイト:1975年~。
著者略歴。
狩猟人生、そのゼロ:人生のベースとなった高校時代:1965年~。
狩猟人生、その1:銃18歳、狩猟20歳、狩猟人生の始まり:1968年~。
狩猟人生、その2:ボルネオ島ジャングル駐在を拝命:1973年。
狩猟人生、その3:帰国後のカモ撃ちバイト:1975年~。
Posted by little-ken
at 18:28
│狩猟人生を振り返って、