2017年04月22日

狩猟人生、その15-2:サコー運用で新たに分かった事:2006年~。

15-2サコーを運用して新たに分かった8つの事。2006年~
狩猟人生、その15-2:サコー運用で新たに分かった事:2006年~。
2006年に筆者はH&Kのセミオート銃からサコー75のボルトアクションサコー75バーミンター
に再び戻した訳ですが、本銃に換えた主目的はH&Kで安定しなかった300mの遠射を達成
させる為でした。
前7項目に対しては個々の射撃術項目には13年~22年を要したと記載していますが、
それは前記の様にエゾ鹿猟を初めてから13年目の2006年に全てが一気に開花したのでした。 

サコ―75バーミンター改は300m遠射、200m以遠の走行射撃、オートより速い連射と理想
の銃になりました。
本銃1丁で全体捕獲1200余頭中の過半である約750頭を捕獲、ランニング射撃も350頭
以上を記録。本銃は銃身側5cm、ストック側2cmカット、全体を軽量化すると共にバランスを
整えました。

本銃のベースは口径308のサコー75バーミンターステンレスモデル、フルート銃身の軽量
モデルでセットトリガー無し、スコープはリューポルドの3~9倍ズームの最低価格の安物です。
グルーピングは150mで18mmとH&Kの12mmに少し至らない精度でしたが、遠射時の
座りは圧倒的に良く本銃になるや300mの遠射を多数成功させてくれました。

高い命中率のお陰で、本銃はH&Kより少し短い6年間の運用でしたが、H&K時代の2倍の
約700頭(2011年度終猟時)内350頭程度が走る鹿でした。
筆者の全体スコアの2/3はこのサコー1丁から得られた成果です。
そしていざボルトアクション銃のサコーの運用を開始しますと新たに分かった事が8つありました。

   遠射は回収が大変
あれほど長い間決まらなかった遠射ですが、サコーに換えた途端とは申しませんが、その
2006年シーズン中には300m遠射多数や、初弾命中ではありませんがMax.500mを2発
連続で成功させる事が出来ました。
簡単に成功させられる様になると回収が大変である事に気が付き、以後は余り遠射をしなくなりました。

結果的に言えば、距離が遠いと言う事で心が最初からビビっていたので当たらなかったと事が
主原因だったと思います。
当たる様になってからの300mは当たって当然と思って撃っています。

   ボルトアクション銃は連射が速く、且つよく当たる
遠射性能向上の為にはランニング射撃の性能低下には目を瞑るつもりでした。
ランニング射撃等の連射性能はセミオート銃には遠く及ばないと思っていたのですが、何時の
間にかセミオート銃よりボルト銃の方が速い間隔で射撃しており、命中率も倍加している事に
気が付きました。セミオート銃の装填自体は一瞬ですから速いに決まっています。

しかし反動で標的がスコープから消えい、探し直してそれから改めて追尾が再開されます。
それに対し、筆者のボルトアクション銃の連射では肩から降ろして再装填しますが、装填は
再肩付行程の一環になっておりそれで遅くなる事はありません。更にこの間も体は目標の
追尾を続けており、肩付けが完了する直前からスイング 加速が再開されますのでボルト銃
の方が速い連射が可能になっていたのでした。

命中率の向上は1度見失った目標を探し直さなければならないセミオートの連射過程には
心の焦りが生じ易く、目標を見失っていないボルトアクションの再肩付け連射の方が良い
命中率を出す事が出来たのだと思います。

理解頂き難いかも知れませんが、結果としてセミオート銃よりもボルト銃の方が連射速度は
多少速く、且つ後述の射程距離が2倍、その上で命中率も約2倍、総合効率が4倍も上がった、
これは紛れもない事実です。
本銃ではその後も含め約750頭を捕獲、内350頭以上が走行中の鹿と言う信じ難い数値と
なりました。

   ランニング射撃でも200mは楽勝
ランニング射撃時の射程距離が大幅に延びました。H&Kのセミオート時には100mを越える
と余り当らずでしたが、サコー75に換えた途端から150mも難なく当てられ、200mでも
それほど難しくない事が分かったのです。
実際、200mクラスまでの命中率低下はありませんでした。

元々スイング射撃自体は近くても遠くても、そして速くても遅くても無調整で対応が可能である
射撃ですから、心の不安さえなければ落差無調整で出来る200mまで十分対応が可能でした。
成功事例は余り多くないのですが、横切れの250mまでは当てられ、追い撃ち方向の後方
からの射撃では300m射撃も何度か成功しています。

   命中率が約2倍
なお平均150m先を走る鹿100頭を倒した記録の分析では1頭倒すのに使った弾数は平均
2.7発で倒している事が分かりました。
H&Kオート時での命中率は100m弱で5発強でしたから、距離で2倍、命中率で2倍の達成
ですから総合的には4倍の改善になりました。

300mの遠射の回収が大変で余りしなくなった事は先の通りですが、ランニング射撃も同様で
以後は回収を考えて撃つ様になりました。

   ライフル銃の150mは近射
直接サコーとは関係ありませんが、スクールの生徒の動向を見ていますと、当初は80mでも
失中でしましたが、経験と共に100m、120m、150mと射程距離は確実に延長され、照準の
方もスナップショットもどきで確実に速くなっていますが、全員がきっちり狙い込む様になり中々
引き金を引かなくなりました。

もちろんそれが良い結果をもたらす筈は無く、早く撃たなければ逃げられると言う不安感から、
命中率の低下が大きくなり、それを防止する為によりきっちり狙う様になり、更に命中率が
低下すると言う悪循環に陥ってしまいました。

サボットスラグに於いて150mは気の置けない距離であり落差補正も必要ですが、さりとて
エゾ鹿猟的に言えば近射に分類されます。
そしてそんな頃10年の歳月をクリアし、憧れのライフル銃を所持出来る様になります。
ライフル銃がこの難題を解決してくれる事は全くありません。
過去サボットスラグからライフルに格上げになった生徒3名を見て来ましたが、新ライフルに
使い慣れていないので全員がサボットスラグ以下の成果しか出せなかったのです。

この様にライフル銃はサボットスラグ銃と命中精度には余り差がなく、差が出るのは150m
以遠の落差だけなのです。
必要なのは更なる精度ではなく、早撃ちであり、150mを近射と思える様に意識改革をしな
ければなりません。

筆者もそう思う様になってから早く撃てる様になりました。
そして早く撃つ事によって逃げられる恐れは大幅に少なくなり、その恐れが無くなる事により
捕獲率(命中率)はグンと上がる様になりました。

   夢の5発5中
ライフル銃を始めたばかりの頃、前記7項目の様に達成したい憧れがありました。
憧れの5発5中は速い連射性能と高い命中率から2006年度中には3回経験出来ましたが、
回を追う毎に回収が大変である事を痛感し、今ではもう絶対にやらないと決め、以後は
Max.3頭、通常は2頭まで、それも回収条件が良い時に限る様になりました。

サコーはランニング射撃でも命中率と射程距離の各々2倍の総合4倍の好成績を出す事が
出来たのは先の通りですが、結果的に言えばクレー射撃の万射も最後の1枚が壁であった
のと同じ事でした。
それはそう意識するから壁になり、そう言う意識をしないで撃てる様になれば間もなく達成
出来る様になるのと同じでした。
しかし何よりも銃を変えた年に達成ですから、サコーのお陰の部分がかなりあります。

   ヒグマ捕獲
紋別郡はヒグマの痕跡の多い所でした。
何時かはヒグマと勝負したい物だと思っておりましたが、その日は意外と早く訪れまして
2006年、小さなヒグマでしたが第1号をサコーにより出会い頭の50mスナップショットで
仕留めました。、翌2007年には第2号と第3号も頂きました。
ヒグマ捕獲はその後も含めてヒグマ捕獲累計は6頭となりましたから決してマグレでは
ありません。

2007年がヒグマの当たり年であった様に2014年も当たり年、NO.4とNO.5を捕獲しました。
特筆は15mの突然の出会いであったNO.4のヒグマ、そして体重400㎏以上で計測不能で
あった巨大なNO.5のヒグマ、これらにも臆する事なく、スナップショットで急所を撃ち抜き捕獲
成功させた事、これも筆者の狩猟人生の集大成の1つに数えられると思います。
狩猟人生、その15-2:サコー運用で新たに分かった事:2006年~。
尚、ヒグマの狩猟期間は10月1日~3月末日までですが、実質は10月末頃の初冠雪からの
2週間後の冬眠に入るまでの非常に僅かな期間に限られます。初冠雪により冬眠が近くなった
事を悟ったヒグマは急にソワソワしだし、注意力も 散漫になり行動半径が広がり出会いの
チャンスが一桁増えます。

筆者の捕獲した6頭は全てこの時期であり、出会いの場所は交通量の少ない林道周辺が
多かった様に思います。時間帯は通常の朝夕の狩猟出撃が終わった頃であり、林道でも
交通量が多ければ適していない様に交通量が低下した時間帯になります。

この様にサコー75バーミンター改には筆者自身も本当に驚かされましたが、銃を変えた
途端の2006年から僅かな期間に長い間の憧れが全て達成されました。

これらの事実からボルトアクションスコープ専用銃と言うのは
  決してWW1時代の旧式銃の延長ではなく、「あらゆる距離」「全ての場面」に於いて
       「圧倒的に優れている」「究極のライフル銃」だった事になり、
             筆者はそれを証明した事になります。
その後、2012年以降のサコー改は大幅ダウンした狩猟運用に限られ、50頭程度/5年となり、
更に近年は低下中で卒業も近くなったと感じています。

   実戦100日クリアが夢達成のスタート
これら全ての達成もその時点までの下積みが充分あればこそだと思います。
2006年サコー運用開始時点で筆者の実戦実績は前にも書きましたが、約200日余であり
総撃墜数は約400頭でした。従って誰であっても実戦200日をクリアすれば夢の達成に対して
全てが開けてくれるだろうと思います。

その筆者もその初期段階は3年間90日余を優秀なプロガイドにお願いし、出会い多数から
急速な進歩が得られ、その後短期に独立出来ましたので、1つの目安は実戦100日をクリア
する事から夢の達成のスタートが始まると思っています。

憧れのエゾ鹿の超大物猟も意外と難しく、スクールの捕獲成功者は30名中の僅か5名の6頭
だけ、しかも殆どの生徒は まだマグレで捕獲しましたので以後が続かず、2頭目の超大物を
捕獲は1名だけに留まっています。

筆者とて5年目で超大物には一応マグレ的な成功を納めましたが、その頃はまだ普通に仕事
をしており実戦累計は50日余のレベル、スクールの超大物達成生徒の平均値の8年の30日
程度とそれほど変わらず、まだまだ超大物には悪戦苦闘の至らない狩猟をしていました。

更にハンターの究極の憧れとして何時かはヒグマですが、これはもっと難しく、ツキノワグマ
1頭を含む200頭近い総数を誇る最ベテラン生徒でもヒグマに対しては2戦2敗、足が全く地に
着いていない射撃でした。彼の累計実績は12年で50日程度ですから、これもまだ至らない
のは当然です。他の生徒にはまだヒグマチャレンジを認めていない状態です。

実戦100日はシーズン4日なら25年を要する事になりますが、筆者は3年強で終了しました。
最短距離があるとすれば有能なプロハンターに弟子入りをお願いすれば1年間以下でも
マスター出来る事になります。そうして1年でプロハンターになった男を2名知っております。

また2006年に銃をサコーにした途端に全てが達成された事からも、良い道具の選択も重要な
アイテムと言えますが、それは未熟な本人が選ぶよりは師となる人に選んで頂いた方が硬いと
思います。













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Posted by little-ken  at 18:11 │狩猟人生を振り返って、